アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領が、妊娠中のアセトアミノフェン使用が自閉症(Autism Spectrum Disorder, ASD)の原因となる可能性があると発言しました(2025年9月22日、記者会見にて)。
この発言は一部の観察研究を根拠としていますが、現時点で「アセトアミノフェンが自閉症の直接の原因である」と医学的に明確に証明された根拠はありません。
多くの研究者や専門機関も「関連性の可能性は議論されているが、因果関係は立証されていない」と強調しています。
発言の問題は何かを考えてみました。
1.医学的根拠の不確かさ
アセトアミノフェンと自閉症の関連を調べた研究はありますが、いずれも因果関係を明らかにできていません。観察研究では「相関関係」を示しても、「原因」と断定することはできないのです。それを政治的指導者が「原因」と断言するのは、医学的に危険な飛躍です。
2.妊婦への不安の増幅
妊娠中に熱や痛みを放置することは、母体と胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。今回の発言が、医師の判断を仰がずに薬を避ける行動を助長すれば、むしろ健康被害が広がりかねません。
3.社会的スティグマの強化
「薬のせいで自閉症になった」という誤解が広まれば、自閉症をもつ方やその家族が新たな偏見にさらされる危険性があります。医学的に明確な根拠がないままの言説は、当事者に余計な苦しみを与えます。
また、政治的背景も感じることは否定できません。
トランプ政権は、過去にもワクチンと自閉症の関連に言及したり、環境要因への強い関心を示したりしてきました。
今回の発言も、科学的エビデンスより政治的支持層へのアピール色が強いと言えるでしょう。
科学的に不確かな情報が政治の場で声高に語られると、社会に大きな混乱を招きます。医薬品規制や医療政策にまで影響する可能性があるだけに、極めて慎重さが求められます。
トランプ大統領の今回の発言は、多くの人を不安に陥れた結果となったと思います。
今回のアセトアミノフェンのニュースに不安を感じている妊婦さんやご家族も多くいると思います。
ですが、アセトアミノフェン=自閉症は事実ではないので安心してください。