少し前のSNSでこんな見解を見ました。
「誰でもできる仕事だったら給料を高くする必要なんてないよね?っていうのが日本人の考え方です。これは税金から出てるからです」と定義し、「(給与は)上がりません、税金から出る仕事だからです」
という見解ですが、ちょっと違和感を覚えました。
介護職は、「きつい・安い・将来性が見えない」というイメージが定着していますが、実際には改善されいる介護施設も増えているようです。そういった変化は離職率にも表れています。
厚生労働省の調査を見ると、これまでの介護職の離職率は15%近くありましたが、2024年に13.1%と過去最低の水準に達し、業界全体での改善が見られます。
その一方で介護サービス職の有効求人倍率は3.41倍。全国平均のおよそ1.31倍と比較して2.5倍以上の水準であり、依然として人材の確保は難しい状況です。
こういった状況に政府は、「処遇改善加算」などの補助金を通じて介護職員の給与を底上げしてきました。
すぐれた経営者は、しっかりとその補助金で給与を上げ、勉強する機会も設けるなど、介護職の皆さんが仕事を続けやすい環境を作るようにしています。
しかし一部の経営者は、補助金がそのまま賃金に充てられず、法人内の別事業への転用や経営費に回ってしまうケースが指摘されています。その結果、現場の職員からは「補助金が出ているはずなのに給料は上がらない」という不満が絶えません。制度設計上、事業者の裁量に委ねられる部分が大きく、実効性が弱いことが課題となっています。
そこで多くの介護施設が頼みの綱とするのが、外国人労働力です。
人手不足を補うために、外国人技能実習生や特定技能制度を活用する施設が増えています。
すでに介護現場で働く外国人は5万人を超えるとも言われ、今後も増加が見込まれています。
以上を踏まえると、介護職の給与が上がらない理由は単純ではありません。
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介護報酬の低い設定(制度的な制約)
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政治的に優先度が低い予算配分
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ケア労働を軽視する社会的な価値観
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外国人労働力に依存した人材政策
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補助金が十分に賃金に反映されない仕組み
こうした要因が複雑に絡み合い、構造的に低賃金を固定化しているのです。
介護職は「誰でもできる仕事」ではなく、専門性と責任を伴う重要な職種です。
国の補助金や加算が現場の職員に直接還元されるように給付後の追跡も必要だと思います。
外国人労働者に頼るのではなく、まず日本の介護職員の待遇を改善するための制度を設け、安心して働き続けられる環境を整えることが急務だと考えています。